動画サイト、YouTubeで「切り絵アニメ」で検索するといくつかの動画がヒットします。
これらをいくつか見ればわかる通り、切り絵アニメとはストップモーションアニメーションの一種です。紙を組み合わせ動かしながら静止画を撮影していき、短い時間感覚で再生することで動いているかのように見せることができます。
アニメ、というとセル画が一般的で切り絵のものはあまり広く使われている手法ではありません。しかし他の手法にはない独特の雰囲気があり、また特殊な機材や材料を必要としないため誰でも簡単に作ることができます。YouTubeでも個人制作の作品が数多く上がっています。
切り絵アニメの作家として有名なのはユーリ・ノルシュテイン(Wikipedia)です。YouTubeで「Norshteyn」で検索すると作品をいくつかみることができます。映像は暖かみがあり、紙とは思えないほどに細かくまで作り込まれています。しかしながら紙である特徴は残っています。キャラクターはいくつものパーツに分けられており、光の階調が豊かなためにモヤモヤとした空気感があります。見ていると独特の心地よい世界に入り込んでいくような気がしてきます。
彼の作品から学べる、切り絵アニメの活かすべき特徴は「紙の質感を活かす」ということです。紙は豊富なテクスチャを持ちます。色、厚さ、模様、凹凸、湿り気、ツヤなどによって当たった光は拡散して反射し柔らかくなります。これはセル画アニメでは出すことができない大きな特徴です。
具体的な作品として挙げるならば、animation découpage(Dailymotion)やGoing West(YouTube)は立体としての紙を活かしている例といえます。紙のフチや折り目、湾曲などのパースペクティブは映像にダイナミックな動きと迫力をもたらします。ただし立体感を強調するためには、限られた数の強い光源を必要とするために、本来の紙の薄さからくる「安っぽさ」が露呈しがちなのではないでしょうか。
他にも自主制作の作品やRené Laloux(YouTube)の作品などを見たところ、切り絵アニメ、すなわち紙という素材を使ったアニメーションの重要な要素は以下の3つであると感じました。
1:光源
光は紙を魅せる上で最も気を払うべきことです。ライトの当て方一つで紙は薄っぺらの「紙切れ」から主人公の「肌」や「地面」「空」へと変わります。特に普通紙のようなほどほどに光沢がある紙に対して複数の蛍光灯を使う、ということはできるだけ避けるべきであると思います。蛍光灯は紙の上に欠かれた文字や汚れを目立たせるには最適であるかもしれませんが、陰を極端に消してしまいます。陰は紙の暖かみを構成し、映像の印象に深みを加えます。
2:動く/動かないことの重要さ
切り絵では基本的にエッジが滑らかです。そのため前景と背景にハッキリとした境界線を作ります。そのため画面全体の分割が明示的に行われ、その分割はアニメーションによって変化していきます。映像では動く部分に目が集まりがちですが、切り絵では動かない部分も強く主張をします。カクカクとした動きは静と動のリズムとなります。
また、ストップモーションでは「無駄な」動きが大きな特徴です。キャラクターや背景、建物はフォーカスの外でも関係なく少しずつ動くことで、映像の時間軸は揺れ進みます。
3:質感の強調
紙を使うからには素材としての特徴を活かすべきです。では活かす、とはどのようにすればよいのでしょうか。一つは光の当て方です。そしてもう一つは素材の組み合わせです。滑らかな紙と並べてクシャクシャにした紙があることで質感は際立ちます。
私たちの目標は「紙でしか作れないアニメをつくる」です。そのためにはいたずらに色取り取りの紙を寄せ集めるだけではなく、それらを効果的に組み合わせ演出する必要があります。



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