一番最初に決まっていたのは「空」をメインテーマとすることです。これは元々制作の動機がNHKのデジスタ・ティーンズに応募するためだったからです。この企画では10代または学生の制作作品を募集しています。その中の1つ、”「空」をテーマにした架空のCM” に応募しようとしたのです。ただ、これはきっかけにすぎません。あくまで作品の出来を優先したいので、最終的に応募する先を変えるかもしれません。そのためCMということは考えずにやっていきます。
まず「空」というキーワードでは何が思い浮かべられるでしょうか?
真夏の海岸と雲ひとつない空、冬のモヤモヤとした鉛色の空、秋の夕暮れと広々とした鱗雲をもつ空、嵐で雷が光る空、早朝の日の出、夕焼け、青空に夜空などなど・・・
私たちは空の下で生活していますが、いつも頭上にあるのにもかかわらず空は千姿万態の姿を見せます。
時として空は心情の象徴として使われます。「晴れ晴れとした気持ち」という言葉と共に晴れ渡った青空は解放感を思い起こさせます。見る度に異なり複雑で、多種多様な空は人の心を映し出します。(しかし、逆に空を何かで喩えるということはあまりないのではないでしょうか?)
ストーリーを書く際にまず考えたのは「いかにしてキレイな空を印象的に見せるか」ということでした。切り絵なり実写なりの空をシーンとしてこれ見よがしに何度も流すことは空の持つ意味を陳腐にさせるように思いました。そこで作品の世界観は「キレイな空が失われた世界」ということにしました。そして空はなにに閉じ込められている、特別な存在となるようにしようと考えました。
幾つかの予備的なストーリーを考え、取捨選択し、最終的にはこのようになりました。
「ここはキレイな空がない街、 工場に覆われて煙は常に立ち上る。
空はいつも煙に隠れていて下界は灰色、そこに現れた少し陽気で変な男、ビンをひとつ手に持って、
いきなりとった変な行動に周りの人間は驚き、そして嘲笑する。
嘲笑された男はなんだか悲しくなってくしゃくしゃになったり戻っ
突然降り始めた汚い雨、
人々の嘲け笑いと雨が激しくなったところで男、
しばらくしてそこに現れた子供、
雨は光り輝き、周りの人間はどこかしらたのしそう。
あの男は悲しかったのではなく本当はとても楽しかったに違いない
このストーリーでの世界では工場、街、群衆は汚く、愚かなものの象徴として、不思議なビンは美しい空が広がる別世界への入り口、またはそのものということになります。この対比はラストシーンで明らかになることになる、ということにしていこうと思います。
まだこのストーリーは荒削りの段階です。これから画面の隅から隅までの動き、効果を決めていく作業に入ります。紙で煙、雨を表すにはどうすればよいのでしょうか。汚い世界とキレイな空の世界との色合いはどう変わるのでしょうか。まだまだ考えるべきことはたくさんあります。

0 件のコメント:
コメントを投稿