2011年1月5日水曜日

作成過程を把握する


実際に切り絵アニメはどのように作られていくのでしょうか。

ただ紙を集めてきてカメラを用意したからといってすぐ撮影ができるとは限りません。撮影した画像はどうやって映像になるのでしょうか。音はどうするのでしょうか。

準備段階として、私たちは以下のように作品制作のステップを想定しています。

1:シナリオ
どのような作品となるのかを文章で素画します。世界観やキャラクターの設定が主な作業です。そして結果として「何を表現したいのか」ということを制作メンバーで共有します。
作品全体の方向性を決めることになりますが、今後の様子(実際に紙におこしたときの見た目や環境/経済的に限られる方法など)によって変わっていくこともあるでしょう。こういった臨機応変の変更が簡単にできるのが個人制作の強みでもあり弱みでもあるのではないでしょうか。



2:絵コンテ
シナリオをもとにシークケンスをラフスケッチとメモ書きで羅列していきます。作品はここで一気に具体的になってきます。この段階で「売り」にしたい効果やデザインなどからより詳細に書き込まれていきます。シーケンスからシーンへと分割が行われ、パンやズーム、視線方向などをメモしていきます。

3:シーンごとの効果
アニメーションではゼロからすべてを作らなくてはなりません。切り絵アニメーションが大変な点はすべての動きを作らなければならないことです。当たり前のことですが、紙の俳優は演技をしてくれないのです。キャラクター、オブジェクト、背景の一挙一動までを意識する必要があります。また動きに合わせ効果(自然の変化や形の変化など)も把握しなければなりません。絵コンテをもとにシーンの表一覧をつくり、それぞれに取り入れる効果を考えていきます。ここで作品を特徴づけるユニークな効果などについては深く掘り下げて議論します。


4:色合わせ
キャラクター、オブジェクト、背景の色合いを決めていきます。色は感情表現、ストーリー展開を演出します。また作品を通しての色合いの変化に気を配る必要があります。ストーリーの流れや効果の重なりに合わせて画面全体のとしてトーンを調整することで作品に一体感がでます。また効果、絵コンテに合わせた紙の質感の選択もここで行います。

5:素材の調達
色合いと質感が決まると必要な紙の種類と量が大まかにですが把握できます。卓上で想像していた紙と実際に触る紙とは大きな差がある場合があります。関連したシーンに用いる紙を並べてみて最適な種類と色を選択します。また、撮影に必要な素材(台紙やセット)も調達します。

6:セット、キャラクターの作成
絵コンテはあいあまいな場合があるので、スケッチを描いてみるとよりイメージが鮮明になります。実際に調達した紙を切って背景やオブジェクト、キャラクターを作っていきます。よく動くキャラクターなどは関節をつけたり、パーツ交換ができるようにするなど撮影時の便宜を考慮して作っていきます。



7:撮影環境の準備
カメラとそれを固定するための装置を揃えます。固定は基本的に三脚が便利だと思います。また照明やセット、台紙など必要に応じて用意します。特に照明は蛍光灯(天井にあるもの)のままでも撮影はできますが、全体的に青白く陰が少ないために冷たくテカテカした印象になりがちです。部屋を真っ暗にして電球の照明を撮影サイドの陰が写らないようセットするのも一つの方法です。

8:撮影
作成したオブジェクトなどを動かしながら撮影を行っていきます。一度に動かす大きさがそのまま映像にしたときの動きの速さにつながることを考慮する必要があります。全体の動きスピードのバランスが一定となるように撮影しては短く再生してみる、の繰り返しになるのではないでしょうか。このときに横で紙を切っていては時間がかかってしまうのでできるだけ前もって作れるものは作っておきたいです。

9:ラッシュ
撮影した画像をまとめてコンピュータで映像化します。動きや効果が思った通りになっているかどうかをチェックしていきます。全体の尺やテンポによってシーンの時間の制約がある場合はいくつかの画像を増減させる必要があるかもしれません。

10:音、音楽の作成
ラッシュの時点では無音の状態です。ここに音と音楽を合わせていきます。音とは行動音(足音やセリフなど)や自然音(風や雷、車の走行音など)を含みます。アクションのひとつひとつに音が加わることでリアリティが増していきます。音楽はストーリーを180度変換させる可能性をも持ちます。音楽によっては主人公の笑顔が幸せの笑顔から憎しみを隠した引きつり笑いまで変わってきます。


11:CG、特殊効果
映像として書き出した後に映像全体の特殊効果を入れることもできます。シーンの入れ替えや色合いの微調整までを行うことで作品の完成度が上がります。私たちはできるだけこの段階に頼らないようにしよう、ということを決めました。なぜならコンピュータでの編集は手軽で強力でありすぎるためにこれの頼ってしまうと紙本来の良さが失われてしまうと危惧しているからです。

12:完成
ここまできてやっと完成になります。

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